レクチャーコースの講師陣におけるジェンダーバランスについて

一般社団法人Teraccollectiveが主催する連続講座「アートプロジェクトの0123:レクチャーコース」について、講師の方々からジェンダー的な偏りがあるとのご批判をいただきました。

まず、講座および経緯について説明を申し上げます。

この講座は10月11日から来年2月にかけて開催し、全10回を予定しています。講師は毎回異なり、アーティストやキュレーターら10名に登壇していただきます。

講師のお一人であるアーティストの百瀬文様が9月30日にFacebookに投稿され、ご自身が「講師10名のうち唯一の女性講師で、かつ私の講座が『身体・セクシュアリティー・ジェンダーと表現』という皮肉な状況です」と述べられました。この投稿を受けて、やはり講師をお願いしているインディペンデントアーティストのトモトシ様から「百瀬さんが指摘しているように講師の人選に2022年らしからぬ偏りがある」とのご指摘をいただきました。

今回の講座は、アートプロジェクトを考えるために10のテーマを設定し、それぞれに相応しいと思われるアーティストやキュレーターらの候補を挙げて、出講を依頼いたしました。ジェンダーやセクシュアリティーをテーマとした講義には、それらに関連する作品を発表されていらっしゃる百瀬様にご登壇をお願いし、ご同意をいただきました。

講師の選定については、ジェンダーバランスにも配慮をしておりましたが、日程などの事情で辞退された方々がいらっしゃったため、意図したわけではありませんが、ジェンダーの観点からは偏った結果となりました。

当法人はあるアートプロジェクトのボランティアを母体として2020年末に発足しました。常時活動をしているメンバーは10人にも満たず、ほぼ全員が他に正業を持ちながら、無償で法人の運営を担っております。そうした制約を抱えつつも、アートプロジェクトに関心を持つ方々にとって意義のある講座を実現させようと努力してきました。その過程で、いつの間にか、講師のジェンダーバランスに対する配慮が疎かになっていました。

近年、アート界では「表現の現場調査団」の活動をはじめとして、ジェンダーの問題がひとつの焦点となっています。だからこそ、今回の講座でもジェンダーをテーマとする講義を設けました。その一方で、講師陣におけるジェンダーバランスが偏ってしまい、百瀬様のお言葉を借りれば、「皮肉な状況」に陥っています。

ジェンダーバランスに配慮したと申しつつ、このような結果を許容してしまいました。代表である私および法人の集合的意識として、ジェンダー問題への認識が十分ではなかったことにあらためて思い至ました。百瀬様、トモトシ様のご指摘、ご批判を虚心に受け止めたいと思います。

幸いなことに講師のお二人は投稿のなかで、「誠実に、近作についてのレクチャーを行おうと思います」(百瀬様)、「講義?に関しては一生懸命やります」(トモトシ様)との意思を表明してくださっています。今後、講義のなかで、あるいは別に機会を設けてジェンダー問題への認識についてのご批判、ご意見をうかがい、当法人の運営に反映していきたいと考えています。詳細についてはあらためてお知らせいたします。

一般社団法人Teraccollective代表理事 西岡一正

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP