TERATOTERA祭り2018 Walls ~わたしたちを隔てるもの~

TERATOTERA祭り2018 Walls −わたしたちを隔てるもの−

JR中央線沿線で様々なアートイベントを展開しているTERATOTERA(テラトテラ)が、街中でのアート展をはじめ、パフォーマンスやトークイベントを盛り込んだ展覧会「TERATOTERA祭り」を開催します。2011年度から始まり8度目となる今回は、11月16日、17日、18日の3日間、三鷹駅周辺の空き店舗など7ヶ所を舞台に開催!気鋭のアーティストたちが、インスタレーションやパフォーマンス、絵画や映像などの作品を発表します。TERATOTERAならではの作品体験をぜひお楽しみください。

「平成最後の~」というフレーズを耳にすることが多くなった。今回の「TERATOTERA 祭り」も「平成最後」。だから、少しだけ平成という時代を振り返ってみたい。
メディアの「平成」評価はおおむね辛口だ。バブル景気がはじけた後の「失われた20 年」、阪神・淡路大震災に続く東日本大震災という未曾有の災厄、そして収束の目処さえつかない東京電力福島第一原子力発電所事故と振り返れば、低迷した時代の様相は露わだ。海外でも、「9.11」に端を発したテロと報復戦争が連鎖し、多くの人々が難民となった。世界の諸国は協調から自国優先へと転じ、対立と亀裂が深まっている。トランプ米国大統領が訴える国境の「壁」は、そうした現実のグロテスクな戯画といえそうだ。
今回、「TERATOTERA 祭り」のコンセプトをめぐって、わたしたちひとりひとりが直面する課題を語り合った。貧困や障害による格差と差別、ジェンダーや性的自認の多様性への忌避ないしは拒否、国籍や思想に対する憎悪を隠さない言動……。ひとびとを分断する動きに通底するキーワードとして浮かび上がったのが「壁」だった。
すでに社会的な課題として顕在化した「障壁」もあれば、視覚化されていない「見えない壁」もある。意識化されないまま心地よくもたれかかっていられる「柔らかな壁」が、わたしたちの内側にもあるのではないか。そうした論議をへて、「Walls-わたしたちを隔てるもの-」が今回のコンセプトとなった。
ここで想起したいのが、1989 年(まさに平成元年)、ベルリンを分断していた「壁」が、それを越えようとする市民の熱量によって撤去されるにいたった、という事実。それが契機となって「冷戦」が終結し、「壁のない世界」への期待が高まった。付け加えれば、その2年前、「壁」の西側でライブを敢行したアーティストがいた。イギリスのミュージシャン、デイヴィッド・ボウイだ。壁越しに響くボウイの音楽が、東側の市民をささやかにであれ揺さぶったことは想像に難くない。
アートは課題を指し示す役割を果たすことができる。今回の「TERATOTERA 祭り」で私たちは、アーティストが「壁」に向き合うことを期待し、それに協力したいと思う。厳然として存在する「壁」だけでなく、見えない「壁」、さりげなくわたしたちの心に忍び込む「壁」。どのような「壁」が立ち現れるのか、不安を抱きつつ期待したい。

Teraccollective

Teraccollectiveとは

TERATOTERAのボランティアスタッフであるテラッコの歴代コアメンバー16名によって2018年に設立しました。メンバーの職業、年齢、性別は様々ですが、アーティストやアートの現場を支援し共に作り上げていきたいという強い想いを共有しています。TERATOTERA祭り2018は、Teraccollective(テラッコレクティブ)が手がける初めてのプロジェクト。今回を皮切りに、裏方だけのコレクティブとして、アートにまつわる様々な人や現場を支え盛り上げていきます。


ART

気鋭のアーティストによる、インスタレーションや絵画、映像、パフォーマンス作品などの作品展示。まずは北口交番横(武蔵野市中町1-14)へお越しください。詳細マップをお配りします。

[ アート展示 ]
日時:11月16日(金)、17日(土)、18日(日)11:00〜18:00 ※スペースエルベは18:30 まで
会場:三鷹駅周辺施設、空店舗など
参加費:無料

 

Tuan Mami

Tuan Mami

会場:武蔵野芸能劇場 小ホール(武蔵野市中町1-15-10 2階)

《Protest Against the Void 3》 2015

《Protest Against the Void 3》 2015

1981年生まれ、ハノイ在住。 彼は活動の中で、インスタレーションやビデオ、パフォーマンスやコンセプチュアルアート などを用い、大胆でますます瞑想的な試みを通して、絶えず新しいメディアや表現方法を探求している。近年では、 「Protest Against the Void」(Defibrillator Gallery、シカゴ・2013)、「24 Hours Tension」 (PØST、ロサンゼルス・2013)、 「In a Breath-Nothing Stands Still」(Art Rotterdam、ロッテルダム・2016)、(Heritage art space、ハノイ・2017)、 (Factory art space 、ホーチミン・2018) など、多数の個展を行っている。 また、「Tokyo Story2010」( トーキョーワンダーサイト、東京・ 2011)、「Free – dom is the Motorbike」(ロサンゼルス・2013)、 「Changwon Sculpture Biennale」( 韓国・2014)、「Plastic Myths」(ACC、光州・2015)、「Krisis」(ノッティンガム・2016)、 「The Unauthorised Medium」(アムステルダム・2018) など、多くのグループ展にも参加している。 クリエーターとして活動する傍ら、NhaSan Collective( ハノイ・2013) の共同創立者であり、San Francisco Art Instituteの 客員教授なども務めている。

小林清乃

小林清乃

会場:旧竹田製麺所(武蔵野市中町2-17-2)

《Polyphony 1945》 2017

《Polyphony 1945》 2017

1982年生まれ。日藝映画学科卒。市井の人々が残した記録物から、特に日記や手紙などに書かれた言葉、話された会話に関心を持ち、パーソナルな語りを集め展開していくことで、個人の視点からみた世界と俯瞰的または普遍的な観察点からみた世界との内的関係を探る。2017 年、第二次世界大戦中に書かれた手紙の音声化を手掛けたボイスサウンド作品《Polyphony1945》を制作。今年夏はポートランドのレジデンスプログラムEnd of Summerに参加。現地での極私的な経験をもとに「死者との遭遇」を主題とした随筆を執筆。また同じテーマでインタビュープロジェクトを行う。

高田冬彦

高田冬彦

会場:みたかスぺースあいB(三鷹市下連雀3-28-20 1階)

《Dream Catcher》 2018(撮影:浅野堅一)

《Dream Catcher》 2018(撮影:浅野堅一)


現代美術家、映像作家。1987年生まれ。作者本人が自宅アパートで繰り広げる誇大妄想的な映像作品が近年の主な作風である。主な個展に『DREAM CATCHER』(Alternative Space Core/2018年)、『LOVE PHANTOM』(Art Center Ongoing/2017年)、『STORYTELLING』( 児玉画廊/2016年)など。主なグループ展に『MOT アニュアル2016 | キセイノセイキ』(東京都現代美術館/2016)など。http://fuyuhikotakata.com/

林千歩

林千歩

北口交番横(武蔵野市中町1-14)

《初美カコ-Project MUSE-》 2017

《初美カコ-Project MUSE-》 2017

2018年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了、博士号取得。映像作品を中心に様々なメディアを使い表現する。母と共に制作した衣装と過度なメイクを纏い、主に作者自身が何者かに扮し出演する。 映像はゲリラ的に撮影された物が多く、不気味なものと笑いを組み合わせた様な何処か猟奇的な内容である。時に鑑賞者をも巻き込み、そこで生まれる何かを居合わせた人たちに問いかける。主な個展に2017年「初美カコ―Project MUSE―」(Art Center Ongoing/ 東京)。2019年には展覧会「六本木クロッシング2019 展:つないでみる」(森美術館)に出品予定。

maadM

maadM

三鷹中央ビル2階(三鷹市下連雀3-28-20)

ごっこあそびに想いのせて》 2017

ごっこあそびに想いのせて》 2017

2011年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コース修了。感情のぶつかり合いや行き違いをテーマに、自作の装置などを用いた作品を展開している。「ごっこあそびに想いのせて」(Art Center Ongoing、東京、2017) など数々の個展を開催するほか、「ゆるんだ遠近法」(AIT、東京、2017)、「黄金町バザール2014」(黄金町エリアマネージメントセンター、2014年、横浜)などのグループ展に参加。

 

 

 

 

 

 

開催概要
[日程] 平成30年11月16日(金)、17日(土)、18日(日) 11:00~18:00
 ※スペースエルベは18:30 まで ※Talk Showは20:30まで
[会場] JR三鷹駅北口周辺施設、空店舗など7カ所(会場は全て三鷹駅から1分~15 分の範囲です)
[ 参加費] 無料
[参加アーティスト] Tuan Mami、遠藤麻衣、キュンチョメ、小林清乃、地主麻衣子、砂連尾理、高田冬彦、林千歩、maadm、本間メイ
[主催] 東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、一般社団法人Ongoing
[後援] 三鷹市、武蔵野市
[協力] HYM(ハモニカ横丁ミタカ)、UR 都市機構、まちづくり三鷹、三菱地所コミュニティ株式会社
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