2021年アートプロジェクトの0123受講者優秀プラン  ~近づきすぎると見えなくて、遠ざかると見えてくるもの(仙波梨英子さん)~

企画者 仙波梨英子さん

1986年、長野県生まれ。横浜市立大学都市社会文化研究科在学中。学部生時代にフィリピンの山岳地帯にホームステイしたことをきっかけに、絵を描きはじめる。大学卒業後は外資系IT、出版社に勤めたのち大学院へ進学し、絵を描くことと、社会学的に研究することの往来を試みている。主として神奈川県内のフィリピンコミュニティをフィールドに、結婚や仕事を機に来日した人々や、日本生まれ日本育ちの若い人たちと関わりあいながら、アートを通じて他者の経験に触れる方法を模索中。主な展覧会(企画・出展)に2018年グループ展「にちじょう~わたしのオリジナルなアラウアラウ」Art Baboo146、2019年個展「Criaturas en Movimiento」Café Libros Al Norte del Sur(スペイン)。2022年4月より故郷の松本市に活動の拠点を移している。

選んだ理由

粗削りだけどオリジナルな視点があり形化したら面白そう。

講評

コロナ禍で何らかのプロジェクトに挑戦してみること自体が難しい状況でもあるが、このように軽やかにその課題自体を取り上げてみるという姿勢が新鮮。実際にテーマをどのように落とし込めるのかで印象が大きく変わるので、どのようなアーティスト・クリエイターへどのように依頼するのかのイメージをより具体化してみて欲しい。直球だけでなく、変化球で落とし込まれるものも見てみたい。

仙波さんコメント

講評を受けての今後の見込み

橋本さんの講評より、「どのようなアーティスト・クリエイターへどのように依頼するのかのイメージをより具体化してみて欲しい。」と頂きました。まだ具体的に依頼できるレベルには至っていませんが、離れた場所から見ること、時間をかけること、顔を見せないこと、一人でいることなどの感覚を面白く作品化されているアーティストの方々に声をかけてみたいと思っています。私が個人的に関心を寄せている方々を、僭越ながら紹介させていただきます。
椎木彩子さん(https://shiikisaiko.jimdofree.com/
変容が求められる「人と会うこと」をテーマに、世田谷生活工房で手紙とお面とインターネットをつかった遠隔(テレ)ワークショップと展覧会を2020年に実施していました。また、ワークショップや展覧会に訪れた人々との交流から生まれた言葉をもとに作品や「今ばなし」の絵本制作もされています。
矢木奏さん(https://sites.google.com/view/kanadeyagi/works/escolta-biennale
フィリピンに長期滞在し、地域に伝わる民俗伝承や精神世界のリサーチをもとに制作をされています。例えば私が偶然お目にかかれた「Escolta Bienniale」という作品は、2013年から2年に一度、マニラ市のEscoltaという場所でのみ出会えるという、時間と空間の限定された作品です。
淺井真至さん(https://mayowazu.wixsite.com/asaishinji
「北アルプス国際芸術祭2020」では木崎湖畔の空き店舗(廃墟)を活用し、時間の止まった空間を「おもいでドライブイン」という作品として再び蘇らせていました。また自ら「絵のお守り自動販売機」に扮し、お客さんに姿を見せずに、声と会話内容からその場でドローイングし、原画入りの「湧き水守り」を販売してくれました。
光岡幸一さん(http://mitsuoka.info/
…Token Art Centerのプロジェクト「Agoraphobia」でお見かけした、青空に映えるゆるい「通達」が印象的でした。“アリになまえをつけていい”、“てをふってみる”等、独特の文字と言葉の間合いがいいなあと思いました。

講座を受けての感想

0123のアート講座を受講して、アーティスト、プロデューサー、評論家ほか、アートに関わる人は皆それぞれ、困難な状況にあってもアートにできること、この状況を色々工夫して実践されていることがわかりました。そこで、私も自分が忘れていたことや、思い出したこと、気づいたことを作品にするとしたら、どんなことができるだろうかと考えるきっかけとなりました。私は個人的に、人に対面で会えないこと、近づけないこと、触れられないことが辛かったのですが、それら経験を新しい視点や自由の感覚に変えてみたいと思いました。講座が対面でないことを、最初は残念に思っていましたが、オンラインだったからこそ(後日の配信視聴含め)全講師の方のお話を聞けたので、やはりこの時代にあった形式の講座に参加できてよかったと感じています。貴重な機会をありがとうございました。

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