ほのかに不思議な体験をしました。その大きな書店には、そこここに絵や立体の作品が展示されています。店内の一角には、廃たれた都市の風景を描いた画集と大判のポスター、そのイメージをミニチュアサイズにした造形物が展示されていました。
店の外に出たら、つい今しがた目にしたばかりの、自動車の天井を突き破って有機物がとりついたミニチュア模型を実物大にしたような光景が。それは、路面店のウィンドウの灯りを受けてシルエットになったために、車道の自動車と歩道の街路樹があたかも書店で展示されたミニチュアのように一体と化していたのでした。
料理研究家の平野レミは、大きな皿に盛った大味な料理の頂上にブロッコリーを屹立させますが、なにかそうした滑稽なショウがはじまったようでもあり、宮崎駿監督が作品で提示する、自然に飲み込まれる機械文明というSFのスペクタクルが、現実世界に浸食してくるようでもありました。
またでた、またみた。世界が変容するプチ体験。温泉に入ると体にいいことがいくつかあるでしょう。同じようにアートを浴びるといいことが起きるという好事例です。
東京幻想の効能:仮構の実体化
でもこれ、日々のトレーニングの賜物だと私は思っています。ワークアウトとか千本ノックのような地道な鍛錬のおかげで、見えないものも見えてくる。だからなるべく多くの作品を見るよう心がけています。そんな修行生活をこれからつらつら綴ります。(iwaosho)